これ等の詩篇は殆どすべてわが熱く愛するものな り、これ等はわづか二日にしてなれるものなり、 みづからにもふしぎとするまで愛らしき詩なり、 われは、ふたたび曙にたつおもひあり、命なかり しものも命あるべくおもわれきたれるなり、
さるすべりをみたらば
たくさんに
いい花がさきみだれてゐた
そっとわたしの肩をたたくようなきがした
あさ
そぼふる雨をやぶり
みんみん
ぬくげに
おさなげに こころがおどる
雨が ぼしやぼしやふってる
にごり水が ぐんぐん ながれる
いい あんばいだとおもふ
のどのとこまで なんだかおしあげてくる
茄子もくわう
わたしに 喰われたら
いいきもちだらう
くってやらう
お湯へはいらう
すこし
ひとりことでもいひながらはいってやらう
からだも お湯も うれしからう
菓子をくれないか
くひたくなった
わらひながら喰わう
ひちりきは いいね
もっと吹かないか
うれしくなった
そこへいこうか
いいことをしよう
わたしだけ
家来にならう
みんな王さまにしよう
雨はやんだ
しかし 空はくもってゐる
白いような
すこし ひかるような雲がいっぱいだ
ものを考へてはならないとおもった
せんべいを
そんなに喰ふぢやありません
お客さまにだすのが なくなるでせう
あかんぼが
笛をくわえてるよ
ぴいと吹かないか
わたしに かしてみるかい
あかんぼが 哭いてるよ
だいてやりな
わたしがいこうか
なかよくしよう
花がちる
花がさいた
きれいな そら
みんな そら
はなしをしよう
ほめてくださるよ
いい方がほめてくださるよ
うれしがって はなしをしよう
ある時
するするっと
汽車が 雨のなかをわけもなくいってしまった
みてゐたらば
もっていかれるようなきがした
まりを つくのか
ちよっと 借さないか
いっしよに つこうか
泣こうかな
ひとつ 泣いてやらうか
なかないでもいいのかな
雨がふる
いいきもちだ
すこし 死にたいようなきもするが
雨はすきだからもっとふれとおもふ
お茶の木のはっぱをかんでたら
こどもが
わたしにもくれといふ
こんなもの——といひながらも
やっぱりとってやったらば
にこにこと かんでゐた
蟲をころそう
ころしたっていいとおもへる
蟲がつぶされる手もとはひかってる